体質顔料との複合化による有機顔料の高彩度化とその性質

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  • Preparation and Properties of High-Chroma Pigments by Hybridization with Extender Pigments
  • タイシツ ガンリョウ ト ノ フクゴウカ ニ ヨル ユウキ ガンリョウ ノ コ

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抄録

一般に, 着色顔料と種々の顔料を混合すると, 混合比に伴い特有の色軌跡を描くことが知られている。化粧品用タール系色素のなかでも汎用される赤色201号 (R-201) と硫酸バリウムとを混合すると, 色相および明度は変化することなく彩度のみが向上した。種々の体質顔料の検討の結果, 顔料分散系の彩度は, 体質顔料と分散媒との屈折率差が小さい場合に向上することがわかった。この彩度の向上は, 赤色201号の粒子間に体質顔料粒子がスペーサーとして入り込むことにより, 光学的にその分散性を向上させるスペーサー効果によるものと考えられる。また, この効果は赤色202号 (R-202) 系においても同様に認められた。<BR>スペーサー効果を更に効率的かつ安定とするため, 着色顔料と体質顔料とをボールミル処理によって複合化することを試みた。得られた複合化顔料は, 顔料の混合系と比べても更に高彩度であり, 優れた分散性を備えていた。顔料の断面の走査電子顕微鏡観察 (SEM) 像から, 母核である体質顔料の粒子表面が, 着色顔料によって均一に被覆されているものであることがわかった。また, 本顔料は顔料の複合化比に伴い, 着色顔料の被覆膜厚が変化した。さらに, この膜厚は, 着色顔料を微粒化分散した場合の顔料粒径にほぼ対応することがわかった。

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