肝腫瘍に対するYAG-OPOレーザーを用いた光化学治療の基礎的検討

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  • A Basic Study of Photodynamic Therapy for Hepatic Tumor Using YAG - OPO Laser.

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抄録

肝腫瘍に対する光化学治療の基礎的実験として, 腫瘍親和性のある光感受性物質PH-1126を用い, 治療用レーザー装置には新しく開発された波長可変パルスレーザーのYAG-OPOレーザーを用いた。<BR>日本白色家兎の肝にVX2細胞を移植して肝腫瘍モデルを作成した。担癌家兎の静脈内に3 (mg/kg) 体重のPH4126を投与した後肝組織及び腫瘍内のPH-1126を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) により経時的に計測した。腫瘍内のPH-1126濃度は, 投与後48時間で正常肝組織 (254±0.15μg/g) と比較して約1.5倍3.43±0.22 (μg/g) を示し至適照射時間を裏付けした。<BR>光化学治療はPH-1126投与48時間後にYAG-OPOレーザー波長650 (mm), パルスエネルギー2 (mJ/pulse), 繰り返し周波数50Hz, 平均出力 (100mW/cm2) で150J/cm2) 照射にて行った。レーザー照射に伴う組織内の温度上昇をデーターロガーを用いて測定したところ, 3℃以内に留まった。治療効果の判定はPDT施行2週間後と3週間後に犠牲致死し,遺残する腫瘍の最大割面の面積で判定した。その結果, 完治症例は認あられなかったが, 対照群 (179.0±40.3mm2) に比較し65.5±19.7 (mm2) と有意に腫瘍の縮小効果が認められた。さらに腫瘍の増殖抑制効果が認められたのみならず, 1) 肝内転移増殖抑制, 2) 肺転移増殖抑制の2点の新しい治療効果を含む有意な抗腫瘍効果が認められた。

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