Babesia rodhaini感染スナネズミおよびマウスのリンパ系組織と肝臓の免疫病理学的観察

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タイトル別名
  • Immunopathological observation of lymphoid tissues and liver of gerbils and mice infected with Babesia rodhaini

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抄録

B.rodhaini感染に対して致死的経過をとるICRマウスと耐過生存するスナネズミのリンパ系組織と肝臓の病理学的変化を経済的に観察した.その結果,マウスでは急激に原虫が増加し,感染5日目にはParasitemiaが86.2%を示し,重度の貧血を示した.一方,スナネズミは感染後6日目に21.3%を示し,PCV値はマウスと同様14%まで減少したが,その後回復した.末梢血液中のリンパ球数はマウスでは原虫数の増加に伴い感染後3日目から急激に増加したが,スナネズミでは一過性の増加を示した.病理学的変化としては,マウスでは原虫数が急増するに伴って,胸腺の萎縮や胸腺リンパ球の変性・壊死像,脾臓やリンパ節のろ胞内のリンパ球の脱落や変性が観察され,さらに,肝細胞の混濁腫脹,巣状壊死が認められた.しかし,スナネズミでは原虫数の増加に伴い脾洞内に赤血球が充満し,原虫感染赤血球を貧食したマクロファジーが多数観察され,また,肝臓のクッパー細胞が肥大増数したが,胸腺の萎縮や胸腺リンパ球の変性壊死像は観察されなかった.感染後14日目なると脾臓やリンパ節のリンパろ胞が拡大し,肝臓では髄外造血像が観察された.この時期に抗体価は急激に上昇し,原虫の増殖は抑制され,PCV値が上昇した.以上の結果から,B.rodhaini感染におけるマウスとスナネズミの病原性の違いは,マクロファージの貧食活性の程度や原虫増殖によって惹起される胸腺リンパ球の壊死と肝細胞の障害の程度によることが示唆された.

収録刊行物

  • 動物の原虫病

    動物の原虫病 16 (1), 24-30, 2001-05

    相模原 : 日本動物原虫病学会

参考文献 (8)*注記

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