血液疾患30症例に対する同種末梢血幹細胞移植

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タイトル別名
  • Allogeneic Peripheral Blood Stem Cell Transplantation in 30 Patients with Hematologic Disorders
  • ケツエキ シッカン 30 ショウレイ ニ タイスル ドウシュ マッショウケツ

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抄録

血液疾患の30例にHLA一致あるいは1抗原不一致のドナーから末梢血幹細胞を採取し未処理で同種移植を施行した。患者の年齢は中央値32歳(範囲6∼61歳)で,急性リンパ性白血病7例,急性骨髄性白血病6例,慢性骨髄性白血病8例,骨髄異形成症候群3例,他疾患6例に対し骨髄破壊的治療後に移植を行った。ドナーにgranulocyte colony-stimulating factor (G-CSF)を投与し,1∼3回のアフェレーシスで末梢血幹細胞を採取した。graftには平均11.3×108(範囲3.8∼17.2)/kgの有核細胞,6.7×106(範囲1.3∼16.7)/kgのCD34陽性細胞が含まれていた。graft-versus-host disease (GVHD)予防はcyclosporin A+methotrexateあるいはFK506+methotrexateを使用した。全例が移植後G-CSFの投与を受けた。1例がday 6に肺炎で死亡したが,残りの29例で速やかな生着が得られた。好中球500/μl以上の回復は中央値13日(範囲8∼21日),血小板20,000/μl以上の回復は中央値14日(範囲1∼23日)であった。評価可能例の急性GVHD grade II∼IVの発症率は33%で慢性GVHDは57%であった。生着不全や拒絶は認められなかった。19例(63%)が移植後147∼839日(中央値560日)完全寛解で生存中である。今後,慢性GVHDとgraft-versus-leukemia (GVL)効果についてのさらなる研究が必要である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 39 (11), 1085-1091, 1998

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (27)*注記

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