赤芽球低形成と自己免疫機序による血小板減少を合併したA型肝炎

書誌事項

タイトル別名
  • Autoimmune thrombocytopenia and erythroid hypoplasia associated with hepatitis A
  • 症例 赤芽球低形成と自己免疫機序による血小板減少を合併したA型肝炎
  • ショウレイ セキガキュウ テイケイセイ ト ジコ メンエキ キジョ ニ ヨル ケッショウバン ゲンショウ オ ガッペイ シタ Aガタ カンエン

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抄録

症例は,53歳,女性。生カキを食した後,発熱,倦怠感が出現し近医受診。肝機能異常と黄疸を指摘され当院へ紹介入院。肝炎ウィルスマーカーよりA型肝炎と診断し,対症療法を行っていた。入院後,トランスアミナーゼとLDHの高値はすみやかに改善したが,著明な血小板減少を認めたためにステロイドパルス療法を施行。その後,原因不明の貧血を合併したので骨髄穿刺を行ったところ,赤芽球と巨核球の著明な減少を認めた。パルボウィルス感染は否定され,再度ステロイドが投与された。しかし,貧血と血小板減少は持続し,黄疸の遷延化と急性腎不全を合併し死亡した。剖検時の骨髄所見は赤芽球癆と類似していた。PAIgGの高値と免疫複合体値の上昇を認め自己免疫機序の関与による血小板減少が考えられた。また貧血の進行には溶血の合併を示唆する所見もみられた。肝炎に合併する造血異常の発症機序を考える上で示唆に富む症例と考えられたので報告した。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 41 (9), 739-744, 2000

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (14)*注記

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