血液学的寛解時にもPh染色体が100%認められたPh陽性急性リンパ性白血病の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Patient with Clinically de novo Ph-positive Acute Lymphoblastic Leukemia Had Ph Chromosome in All Metaphases at the Time of Hematological Remission

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抄録

58歳,男性。Ph (+) ALLとして他院で治療を受けていたが,効果不十分なため当院紹介され転入院。入院時の骨髄穿刺で,ペルオキシダーゼ染色陰性のリンパ芽球様異常細胞が64.8%を占めていた。表面マーカーの検索ではCD10, 19, 34, HLA-DRが陽性,染色体分析で20細胞中17細胞にPh染色体を認めたが,3細胞は正常核型であった。M-BCRの再構成は認められなかった。Ph (+) ALLの診断でDVP療法を施行。その後methotrexateとL-asparaginaseによる地固め療法を行い,白血病芽球は消失して完全寛解となったが,その時点の骨髄細胞の解析でPh染色体が100%認められ,m-BCR再構成が認められた。PAME療法による強力地固め療法を施行したが,敗血症性ショックで死亡した。臨床的にはde novo Ph (+) ALLと思われるが,完全寛解時にもPh染色体が100%認められた珍しい症例につき,CMLとの異同についての考察を加えて報告する。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 37 (9), 833-837, 1996

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (14)*注記

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