Alzheimer型痴呆における遠隔記憶に関する研究  自伝的記憶の検査,Dead/Alive testによる検討

書誌事項

タイトル別名
  • Study on Remote Memory in Alzheimer's Disease using both Autobiographical Memory Test and Dead/Alive test.

この論文をさがす

抄録

軽度の Alzheimer型痴呆 (DAT) 9名と中等度の DAT 9名を対象に遠隔記憶の検査成績を検討した。自伝的記憶の検査 (autobiographical incidents memory, personal semantic memory) は Kopelman ら (1989) の検査課題を一部修正して用いた。また,社会的な出来事の検査として Kapur ら (1989) の考案した Dead/Alive test を本邦でも使用可能となるように修正し用いた。その結果,自伝的記憶の検査および Dead/Alive test の検査の双方とも,近い過去に比較して遠い過去に関する記憶の検査成績が良好であるような時間的な勾配が DAT の2群に認められた。一方,自伝的な記憶の検査においては軽度と中等度の DAT の検査成績に乖離が認められたが,Dead/Alive test においては DAT の2群の成績に乖離を認めなかった。この結果には,自伝的記憶と Dead/Alive test の解答方法の相違 (再生と再認) が関与しているだけではなく,複雑な階層構造を持つ自伝的記憶が軽度のDATに比較して中等度の DAT においてより障害されやすいことも関連すると考えられた。

収録刊行物

  • 失語症研究

    失語症研究 18 (4), 293-303, 1998

    日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)

参考文献 (25)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ