植込み型除細動器(ID)患者のアンケート調査からみた精神心理分析

書誌事項

タイトル別名
  • <I>Psychological analysis in patients with an implantable cardioverter defibrillator</I>

この論文をさがす

抄録

目的: 植込み型除細動器 (ICD) による治療を受けた連続27例 (59±15歳) を対象に, アンケートによる精神心理的ストレスの評価を試みた.方法: アンケート調査は当院で作成した用紙 (身体活動と心理分析の評価) と, CMI分析 (神経症傾向を評価) およびMAS分析 (不安症の評価) を用い, 植込み後6±5カ月に行われた, ICD作動の定義は, 除細動機能またはカルディオバージョン機能の稼働または誤作動の場合とした.回収したアンケート結果を作動群と非作動群に分類し比較検討した.結果: ICD作動は13例, 非作動は14例であった.ICD治療は, 患者の身体活動の制限とICD作動にまつわる新たな不安を生じさせた.ICD患者の作動の有無による心理分析では, ICD後の安心感, 不安感, 治療に対する満足度においては両群間で差はなかったものの, 精神的安定度と治療に対する推奨度は作動群で高かった.CMI分析とMAS分析の結果を既存の報告と比較したところ, 両分析とも二群間で神経症傾向と不安傾向についての明らかな差はみられなかった.総括: ICD治療は患者に身体活動の制限と新たな不安を生じさせるが, 一方で作動歴のある患者においては精神的安定と治療に対する信頼感をもたらすことが示された.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 21 (6), 812-818, 2001

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (18)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ