冠静脈洞開口部を最早期心房興奮部位とする房室結節リエントリー性頻拍の検討

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タイトル別名
  • Electrophysiologic characteristics of rare type of atrioventricular nodal reentrant tachycardia.

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抄録

【目的】冠静脈洞開口部 (CSO) を最早期心房興奮部位とする房室結節リエントリー性頻拍 (AVNRT) の特徴を明らかにする.【対象・方法】AVNRT 91例92頻拍 (男46例, 女45例, 47±18歳) を対象とし, 通常型AVNRT (AH>HA) で, 頻拍中の心房興奮部位がヒス東電位記録部位HBEがCSOに先行した71頻拍 (77%) をHBE群, CSOが先行した13頻拍 (14%) をCSO群とし比較検討した.【結果】 (1) 川頁行性伝導: 洞調律時, 心房刺激時の各指標に差はなかった.ジャンプ現象はHBE群の69例 (97%) , CSO群の13例 (100%) で認められた.〔2〕逆行性伝導: 心室刺激時, 両群間で有意差を示したのは, 低頻度心室刺激時の刺激 (S) -心房電位 (A) (SA) 間隔 (ShortestSA, HBE群: 117±22vsCSO群: 200±41ms; p<0.002) , 1: 1室房伝導を示す最大刺激頻度 (167±30vs142±28bpm; p<0.02) , そのときのSA間隔 (Maximal SA, 135±24vs227±43ms; p<0.0001) , Maximal SAからShortest SAを減じたSA間隔の延長度 (17±13vs27±15ms; P<0.009) , 高頻度心室刺激中のWenokebaoh周期の出現率 (5/57例 (9%) vs8/12例 (67%) ; p<0.0001) であった.また, CSO群の全例の逆行性伝導はCSOを最早期心房興奮部位とする伝導のみであった. (3) 頻拍: RR間隔 (374±69vs420±68ms; p<0.03) , HA間隔 (44±18 msvs 114±25 ms; p<0.0001) , VA間隔 (-1±21 vs 68±24ms; p<0.0001) , AH/HA (9.0±4.5vs2.8±0.9; p<0.0001) で差が認められた. (4) 頻拍誘発率: 高頻度心房刺激 (HBE群: 58%vs CSO群: 23%; p<0.03) , 早期心房刺激 (79% vs 46%; p<0.04) で差が認められた. (5) 薬剤: ベラバミルとI群抗不整脈薬を投与した.投与後室房ブロックを呈したのは, ベラバミルでそれぞれ17例 (36%) , 4例 (31%) , I群薬で2例 (11%) , 2例 (50%) と差はなかった.【考案】CSO群は頻拍や心室刺激時の逆行性伝導に特徴的な所見が認められた.頻拍は逆行性の速伝導路が機能してないときや, 速伝導路の伝導時間と有効不応期が長いときに出現すると考えられた.両群の薬剤に対する反応は類似しており, また, HBEのA波が必ずしも速伝導路の心房端を反映しているとは限らず, COSのA波との比較のみでは, 診断が困難な場合があり, 診断には, 詳細なマッピングと, 電気生理学的特徴を参考にする必要があると考えられた.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 18 (3), 288-299, 1998

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (40)*注記

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