心房細動に対するNaチャネル遮断薬とKチャネル遮断薬の相反する頻度依存性薬理作用

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  • Sodium channel blockers with slow recovery kinetics prolong atrial refractoriness greater during rapid excitation than potassium channel blockers in canine atrial fibrillation model.

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抄録

心房細動の受攻因子である心房不応期に与えるNaチャネル遮断薬と, Kチャネル遮断薬の効果を調べる目的で, pilsicainide (Pil) とMS-551 (MS) の抗心房細動作用につき検討した.迷走神経刺激下に15分以上の心房細動が誘発可能なイヌ18頭を対象とした.非心房細動時, 種々の刺激周期における心房単相性活動電位持続時間 (MAPD) と同部位の有効不応期 (AERP) を計測し, また96点マッピング電極にて心房内伝導速度 (CV) を測定した.次に心房細動を誘発し, 心房細動中のMAPのff間隔 (AFCL) を測定し, 5分の時点でPil及びMSの静注を開始した.心房細動停止後に諸計測を繰り返した.Pilは10頭中9頭, MSは8頭中4頭で心房細動を停止させた.AFCLはPil, MS投与により各々39.8%, 88.3%増加した (P<0.05) .PilはCVを減少させた (P<0.05) が, MSは変化させなかった.反対にPilはMAPDを変化させなかったが, MSは逆頻度依存性にMAPDを延長した.一方AERPに対しては両薬剤ともに延長作用を示したがその態度は基本周期により異なり, Pilは頻度依存性に, MSは逆頻度依存性に延長をもたらした.その結果, Pilは基本周期150mseoでもAERPを有意に延長したのに対し, MSはPil投与時よりも短いAERPを示した.<BR>これらより, Naチャネル遮断薬はCVを低下させたのみならず, MAP口を延ばさずにAERPを有意に増加させた.このpostrepolarization refraotorinessは, 逆頻度依存性ブロックを特徴とするKチャネル遮断薬と異なり, 高頻度興奮時にも維持され, 心房細動の停止に効果的と考えられた.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 18 (3), 315-323, 1998

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (14)*注記

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