心室期外収縮の治療効果判定に自覚症状の改善は有用な指標となるか?

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タイトル別名
  • Is improvement of subjective symptom useful in evaluating drug efficacy on ventricular premature contractions?

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抄録

過去の新薬の臨床試験のデータを用いて自覚症状の改善度に対する諸因子の影響を解析し, 心室期外収縮の治療効果判定に自覚症状の改善度が有用であるか否かを検討した.対象は, 心室期外収縮に対する3つの新規抗不整脈薬 (フレカイニド, ピルジカイニド, ピルメノール) のジソピラミドを対照とする臨床第III相試験の患者403例で, 抗不整脈薬投与前に自覚症状のあった231例において自覚症状の改善度と期外収縮の減少率について他因子 (年齢, 性, 基礎心疾患, 薬剤投与前の自覚症状, 薬剤投与前の期外収縮数) との関連を多変量解析を用いて検討した.自覚症状の改善度は期外収縮の減少率 (r=0.60, p<0.0001) と投薬前の自覚症状 (r=0.22, p<0.001) とに相関が認められ, 期外収縮の減少率は, 年齢と正相関 (r=0.16, p<0.05) があり, 基礎心疾患と逆相関 (r=-0.15, p<0.05) が認められた.すなわち, 心室期外収縮患者の自覚症状の改善度は, 期外収縮減少率に強く影響されるが, 投薬前の自覚症状が強い例ほど高くなる.また期外収縮の減少率は, 高齢者および基礎心疾患を有しない例で高くなる.これらの点は臨床治験ばかりではなく日常臨床の場において治療効果を判定するにあたって留意すべき点と考えられる

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 18 (6), 824-829, 1998

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (12)*注記

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