左室起源の特発性心室頻拍におけるリエントリー回路について

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タイトル別名
  • The reentrant circuit in idiopathic left ventricular tachycardia: a case report.

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抄録

症例は27歳男性.25歳時より動悸発作が出現し, 発作時に右脚ブロック+左軸偏位型の持続性心室頻拍 (VT) が認められた.諸検査では器質的心疾患は認めず, VTはprooainamide, verapamil静注で停止効果を認めたが, これらの内服で予防効果は認められなかった.心臓電気生理検査では, 右室流出路よりの単発心室早期刺激で, 自然発作時と同型のVTが誘発され, 右室流出路よりの頻回刺激にてエントレインメント現象が確認された.頻拍中の心内膜マッピングで左室心尖部中隔側後壁寄りにQRS波の開始より45msec先行する明瞭なプルキンエ電位が同定され, 同部での通電でVTは数秒後に停止し, 誘発不能となった.通電部位で認められたプルキンエ電位は洞調律時にも認められ, 中隔に沿って基部から心尖部の順で認められた.VT時には同様の興奮川頁序が確認されたが, 局所の心室電位は逆方向であった.左室起源の特発性心室頻拍の回路に, プルキンエ線維を下行し正常心筋を上行する回路を有する症例の存在が想定され報告した.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 18 (6), 886-891, 1998

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (16)*注記

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