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- 原島 知己
- 昭和大学歯学部歯内療法学講座
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- 竹田 フランク 広野
- 昭和大学歯学部歯内療法学講座
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- 張 成飛
- 昭和大学歯学部歯内療法学講座
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- 木村 裕一
- 昭和大学歯学部歯内療法学講座
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- 松本 光吉
- 昭和大学歯学部歯内療法学講座
書誌事項
- タイトル別名
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- Effects of the argon laser on the instrumented root canal walls
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抄録
<p>要 約 : この研究では, 根管拡大した抜去歯の根管壁における清掃効果を走査型電子顕微鏡を用いて観察し, 通常の方法とアルゴンレーザーを用いた方法を比較検討した. 30本のヒト抜去歯で根が完成した臼歯 (3根管) をこの研究に用いた. X線を撮影した後, 抜去歯の歯冠を切断し, 10号K―ファイルを用いて, 根尖孔より1mmアンダーを作業長として決定した. 拡大は作業長で45号までK―ファイルを用いて行った. 処置内容により以下の5グループに分けた. グループ1は5.25% NaOC1と3% H2O2による洗浄をしながらステップバック法による手用操作. グループ2は5.25% NaOC1と3% H2O2による洗浄をしながらステップバック法による手用操作後, 最後に14% EDTAによる洗浄. グループ3は5.25% NaOC1と3% H2O2による洗浄後, 超音波装置を使用. グループ4は5.25% NaOC1と3% H2O2による洗浄後, 超音波装置を使用し, 最後に14% EDTAによる洗浄. グループ5は5.25% NaOC1と3% H2O2による洗浄をしながらステップバック法による手用操作後, アルゴンレーザーを照射. 照射条件は出力1W, パルス幅0.05秒, パルス頻度5ppsで, 1根あたり15秒照射を4回繰り返した. これらの処置後, 歯根を垂直に分割し, 走査型電子顕微鏡を用いて観察した. 評価方法は歯根を3部分に分け, それぞれの部分でのデブリスの存在状況を調べた. グループ1では5.5%の根管に, グループ2では33.3%に, グループ3では27.8%に, グループ4では61.1%に, グループ5では72.2%に清掃効果が認められた. また, 今回調べた72根管のうち26根管 (36.1%) は根尖と根尖孔が一致し, それ以外は一致しなかった. </p><p> 本研究で行った通常の方法では根管の清掃はほとんど不可能で, 特に根尖部ではデブリスが多く存在した. EDTAまたは超音波装置を使うことで清掃効果が少しは向上し, そしてそれらを併用することで一段と向上した. しかし, 超音波装置はすみやかで時間が短縮できたが, 根尖部での清掃があまりできず, 根管壁に傷が多数認められた. 一方, レーザーがデブリスとスメアー層の除去のため歯内治療に導入され, それに関するいくつかの報告がなされている. 本研究でもアルゴレーザーを使用し, 時間的に1分で, EDTAと超音波装置の併用以上の清掃効果が認められた. しかし, レーザーを照射する場合, 根管内にくまなく満遍に照射しなければならず, 技術的に難しい点もある. これは今後の研究課題である. </p><p> 以上の結果から, すべての方法で根管内表面を完全に清掃できなかったが, アルゴンレーザーを併用したことで清掃効果がかなり向上したことにより, 歯内治療でのアルゴンレーザーの有用性が示唆された.</p>
収録刊行物
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- 日本臨床歯内療法学会雑誌
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日本臨床歯内療法学会雑誌 18 (1), 12-18, 1997
日本臨床歯内療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238087603200
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- NII論文ID
- 10008153964
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- NII書誌ID
- AN10443184
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- ISSN
- 24324493
- 13406248
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可