飼育下での泥底質環境の再現について Reproduction of Bottom Environment on Muddy Marine Bottom Material, under Breeding Condition
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抄録
陸上の施設において、底棲生物の飼育、あるいは種苗生産や養育を行う場合、対象となる底棲生物が本来生息している環境の忠実な再現が重要であることは論を待たない。特に底質環境は底棲生物の飼育、とりわけ底質への依存度が高く、移動能力に乏しい生物の飼育において非常に重要であることは容易に予測できる。飼育下における底質環境への配慮は、物理的性質においてはその粒度分布だけに限られているのが現状であるが、土質工学的な見知からは、砂質土において粒度分布が諸性質に密接な関係があるとされているものの、粘性土においてはむしろ含水比が諸性質との関係において重要であるとされている。一方、内湾の泥底にはアカガイやトリガイをはじめとする水産上非常に重要な底棲生物が生息しており、盛んに増養殖の試みがなされているが、実際に泥質堆積物の物理的性質を把握し、それらを底質環境として飼育及び増養殖に応用した例は殆ど見られない。本報文では、飼育条件下における底質の含水比をはじめとする物理的諸性質の特性を明らかにし、泥底と比較することにより、泥底に生息する底棲生物にとっての物理的な底質環境の飼育下における再現について検討したので報告する。
収録刊行物
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- 水産工学
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水産工学 36(1), 57-60, 1999-07-15
日本水産工学会