赤痢菌のアクチン重合に基づく細胞間感染機構の研究  [in Japanese] Studies on the Actin-based Spreading of Shigella  [in Japanese]

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Author(s)

    • 鈴木 敏彦 SUZUKI Toshihiko
    • 東京大学医科学研究所 感染・免疫大部門細菌感染分野 Division of Bacterial Infection, Department of Microbiology and Immunology, Institute of Medical Science, University of Tokyo

Abstract

赤痢菌が引き起こす細菌性赤痢は, 発展途上国において乳幼児の死亡原因の1つとなっており, 今なお国際的視野から重要な感染症の1つである。本菌はヒトの結腸粘膜上皮へ侵入し, さらに周囲の上皮細胞へ再感染を繰り返しながら, 粘膜上皮に激しい炎症を引き起こして, 粘血性下痢を惹起する。本菌が周囲の細胞へ拡散するために, 細胞内の菌の一極において宿主のアクチンの重合を誘起してコメット状の凝集束を形成しこれを細胞内運動の原動力としている。このアクチン重合に必須な赤痢菌の因子が外膜蛋白 VirG である。本研究では VirG によるアクチン重合機構の解明を目的としてまず VirG の菌体外分泌機構および VirG 分子内機能領域の解析を行い, その結果, 本蛋白はC-末端側の領域が外膜に貫通することによってN-末端側の領域を菌体外に輸送するという自己分泌能を持つことがわかった。また菌体外露出領域のうちN-末端側2/3の領域にアクチン重合に必要なドメインが存在し, 残る1/3の領域は菌体-極発現に必要であることが明らかになった。さらに VirG に結合する宿主細胞側因子の同定を行い, VirG のアクチン重合に必要な領域にビンキュリンと neural-Wiskott Aldrich syndrome protein (N-WASP) が直接結合することが示された。後者のN-WASPは VirG によるアクチン重合に必須な宿主因子であり, VirG にN-WASPが結合することによりアクチン重合開始因子 actin-related protein (Arp) 2/3複合体が活性化されアクチン重合が開始される。これによりアクチンコメットが形成され菌の細胞内運動の原動力となっていることが明らかになった。

Journal

  • Nippon Saikingaku Zasshi

    Nippon Saikingaku Zasshi 57(2), 443-452, 2002-05-10

    JAPANESE SOCIETY FOR BACTERIOLOGY

References:  40

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    10008424289
  • NII NACSIS-CAT ID (NCID)
    AN00189800
  • Text Lang
    JPN
  • Article Type
    REV
  • ISSN
    00214930
  • NDL Article ID
    6159944
  • NDL Source Classification
    ZS9(科学技術--医学--病理学・微生物学・寄生虫学・感染・免疫学・血清学・アレルギー)
  • NDL Call No.
    Z19-229
  • Data Source
    CJP  NDL  J-STAGE 
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