漁船漁業のエネルギー生産効率 The Production Efficiency of Energy for Fishing boats

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抄録

漁業資源の減少や漁業就業者の高齢化などによる漁獲量の減少が指摘されている。一方、将来の世界的人口増加に伴う食糧問題を緩和する手段として、漁業には大きな期待がかけられている。この漁業は大量の食糧生産を行う産業であるが、その生産のために機関の燃料や石油化学製品の漁具として多量の石油資源を消費する産業でもある。漁業白書によれば、1955年の日本の漁業において総漁獲量の約19パーセントに相当する約91万トンの石油燃料が使用消費された。その20年後の1975年には漁獲量の約43パーセントに当たる約430万トンの燃料が使用された。1975年以降、漁獲量に対する燃料消費量の重量割合は減少傾向にあったが、最近、漁獲量の減少により再びこの比率が増加し始めた。食糧確保の意味から漁獲量の増産を図ることは重要であるが、同時に、化石資源の浪費を避ける立場から漁業における石油消費の動向を把握する必要がある。Pimentelらは、アメリカのトウモロコシ栽培における生産物のエネルギー量と投入エネルギー量を推定し、その収支を分析した。この中で、トウモロコシ栽培に必要な労働力、肥料、農薬、機械、電力、建物などほとんどすべての生産手段を投入エネルギーとして換算した。これによると、トウモロコシ栽培のための主要な投入エネルギーは窒素、ガソリン、機械であり、生産エネルギーと投入エネルギーの比は1945年の3.70から1970年の2.83に減少していると指摘した。日本では、宇田川がPimentelらと同様の手法によって、日本の水稲栽培を分析した。それによると機械、肥料、建物、潅漑、資材、農薬、燃料が投入エネルギーの主要な部分を占めている。生産と投入エネルギーの比は、1950年当時の1.27から1974年の0.38に大きく減少し、近年の水稲栽培はエネルギー多量消費の傾向にあると指摘している。その原因として、この間の使用機械の総重量、肥料等の増大を挙げている。本論文では、これらの方法を参考として、漁船漁業におけるエネルギー収支の観点から生産効率の分析を試みた。

収録刊行物

  • 水産工学

    水産工学 32(3), 195-202, 1996-03-29

    日本水産工学会

参考文献:  6件中 1-6件 を表示

被引用文献:  1件中 1-1件 を表示

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10008439110
  • NII書誌ID(NCID)
    AN10278554
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    ART
  • ISSN
    09167617
  • データ提供元
    CJP書誌  CJP引用  IR 
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