C型肝硬変・肝細胞癌の経過中に自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を発症した1例

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タイトル別名
  • A case of liver cirrhosis type C and hepatocellular carcinoma accompanied by development of autoimmune hemolytic anemia

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抄録

症例は71歳女性. C型肝硬変と肝右葉の術後再発肝細胞癌で経過観察されていた. 全身倦怠感増強したため, 精査したところHb 4.7mg/dlの貧血と末梢赤血球の破砕および大小不同像の他, T. Bil 4.24mg/dl, LDH 1217IU/l, Hp 12.3mg/dl以下, 尿 urobilinogen 3+, 直接・間接 coombs test 陽性. 骨髄像はやや過形成性で, 赤血球生成の亢進の他は異常所見を認めず. 以上より自己免疫性溶血性貧血 (AIHA) と診断した. 抗核抗体, 抗DNA抗体, PAIgG, 抗カルジオリピン抗体など各種の自己抗体も陽性を示していた. ヘモグロビン尿によると思われる腎不全の合併も認めた. Prednisolone の投与を中心に治療開始したところ, 貧血は速やかに改善したが, PSL投与に伴いHCV-RNA値の上昇と胆汁うっ滞性黄疸の病態が出現し, 肝不全にて死亡した. C型肝炎ウイルス感染状態に合併する自己免疫性疾患としてのAIHA症例は稀であり, 興味ある1例と考えられた.

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 43 (4), 207-211, 2002

    一般社団法人 日本肝臓学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (15)*注記

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