注射用ニュキノロン系抗菌薬Pazufloxacin mesilateの光毒性試験

書誌事項

タイトル別名
  • PHOTOTOXICITY STUDIES OF PAZUFLOXACIN MESILATE, A NOVEL PARENTERAL QUINOLONE ANTIMICROBIAL AGENT
  • <I>IN VITRO</I> AND <I>IN VIVO</I> STUDIES
  • <I>in vitro</I>及び<I>in vivo</I>での基礎的検討

この論文をさがす

抄録

新規な注射用ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin mesilate (PZFX mesilate) の光毒性について, 既存の同系薬物を対照としてin vitro及びin vivoでの基礎的検討を行った。In vitroの検討では, PZFX mesilateの活性本体であるPZFXの培養細胞を用いた光細胞毒性試験の実施及び長波長紫外線 (UVA) に対する安定性を調べた。In vivoの検討では, モルモット及びラットを用いた光毒性試験並びにモルモットを用いた光アレルギー性試験を行った。<BR>培養細胞を用いた光細胞毒性試験では, 10μg/mLのPZFX, ofloxacin (OFLX), lomefloxacin (LFLX) 及びsparfloxacin (SPFX) の存在下でCHL/IU細胞に300-3000mJ/cm2のUVAを照射した。その結果, 細胞毒性の強さはSPFX>LFLX>OFLX>PZFXの川頁であり, PZFXの光細胞毒性は弱かった。また, 各溶液に300-3000mJ/cm2のUVAを照射して紫外吸収スペクトルの変化及び未変化体残存率を調べたところ, PZFXはUVAに対して比較的安定であった。<BR>モルモットを用いた腹腔内投与による光毒性試験では, PZFX mesilateの65,130mg/kg (PZFX換算50, 100mg/kg), nalidixic acid (NA) の50,100mg/kg, OFLX, enoxacin (ENX), ciprofloxacin (CPFX), LFLX及びSPFXのそれぞれ100mg/kgを1日1回7日間反復投与し, 最終投与後30分にUVAを約11J/cm2照射した。その結果, 照射後24時間における皮膚反応 (紅斑) の強さはSPFX>CPFX>NA>ENX=OFLX>LFLX>PZFXmesilateの順であり, PZFX mesilateは最も光毒性が弱かった。UVA照射時に相当する投与後0.5-2.5時間における最高血漿中薬物濃度を比べると, PZFX mesilate群はCPFX群の約4.1倍, SPFX群の約1.3倍高く, 血中濃度時間曲線下面積 (AUC.5-2.5) ではSPFX群と同じであり, CPFX群と比べると約3.2倍大きかった。したがって, 全身曝露量を考慮してもPZFX mesilateの光毒性はCPFX及びSPFXより弱かった。ラットを用いた静脈内投与による光毒性試験では, PZFX mesilateの130mg/kgで光毒性はみられなかった。また, モルモットを用いた光アレルギ性試験で, PZFX mesilateに光アレルギ性はみられなかった。<BR>以上, in vitro試験においてPZFX mesilateの活性本体PZFXはUVA照射に対して比較的安定であり, 光細胞毒性はSPFX, LFLX及びOFLXより弱かった。また, in vivo試験においてPZFX mesilateの光毒性はNA, OFLX, ENX, CPFX, LFLX及びSPFXより弱く, 光アレルギ性はみられなかった。これらのことより, PZFX mesilateは光線過敏症を発現しにくい薬物であると考えられた。

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (18)*注記

もっと見る

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ