東京都におけるレンサ球菌感染症流行予測調査

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タイトル別名
  • Epidemiological Survey for Hemolytic Streptococci Isolated from Children in Tokyo
  • トウキョウト ニ オケル レンサ キュウキン カンセンショウ リュウコウ ヨソク チョウサ

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抄録

東京都は毎年11月と2月に特別区, 多摩と島しょの健康学童と保育園児を対象に咽頭レンサ球菌の検査を実施してきた.1979~1998年の20年間に20, 118名を対象に実施した結果を要約すると以下のとおりである.<BR>1) 離したレンサ球菌は4, 176株である.その群別はA群3, 188株 (76.3%), B群569株 (13.6%), C群63株 (1.5%), G群356株 (8.5%) でA群が3/4以上を占めている.<BR>2) A群レンサ球菌の血清型は, 3地域とも12型が首位で, 以下28型, 1型, 4型, 6型などが主要菌型である.<BR>3) A群レンサ球菌の検出率は, 特別区15.9%, 多摩17.1%, 島しょ14.5%で, 3地域全体の平均は15.8%であった.<BR>4) A群レンサ球菌の流行例と思われるものが20件あり, 28型7件, 12型5件, 6型4件, 4型2件, 1型と25型はそれぞれ1件あった.<BR>5) A群レンサ球菌の薬剤感受性測定は2, 927株に実施し, 740株 (25.3%) が耐性であった.耐性株の出現頻度は年度によって異なり, 50%以上を示したのは1984年, 1994年, 1998年の3年で, 30%台が4年, 他は30%未満である.また薬剤耐性パターンはTC単剤耐性が最も多く, 次がTC・CP2剤耐性, EM単剤耐性, TC・CP・EM・OL・LCM5剤耐性の順である.菌型別耐性は4型のTC単剤, 12型のTC単剤と5剤耐性, 25型のEM単剤耐性が多かった.<BR>6) 1997, 1998年度2回の検査で同型菌を分離したのは12.3%で, 健康学童の咽頭におけるレンサ球菌の保菌期間は短期間のものが多いようである.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 75 (4), 314-325, 2001

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (7)*注記

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参考文献 (29)*注記

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