HIV感染者に対する多剤併用療法による高ガンマグロブリン血症の改善についての検討

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Highly Active Antiretroviral Therapy (HAART) on Hypergammaglobulinemia in HIV Infected Patients
  • HIV カンセンシャ ニ タイスル タザイ ヘイヨウ リョウホウ ニ ヨル コウガンマグロブリン ケッショウ ノ カイゼン ニ ツイテ ノ ケントウ

この論文をさがす

抄録

HIV感染者におけるHIVの増殖と高ガンマグロブリン血症との関連について検討するために, 多剤併用療法前後の高ガンマグロブリン血症の程度の変化について検討した. HIV感染者にて, 未治療群34人, 多剤併用療法後ウイルス消失群21人, 及び多剤併用療法後ウイルス残存群12人における末梢血中HIV-RNA量, ガンマグロブリン分画 (%), 及びIgM, IgG, IgA, IgE値を測定した. 未治療群とウイルス残存群におけるHIV-RNA量の平均はそれぞれ1.6×104copies/ml, 0.4×104copies/mlであった. 未治療群, ウイルス残存群, ウイルス消失群におけるガンマグロブリン分画 (%) の平均はそれぞれ244%, 21.8%, 17.9%で消失群において有意に低かった (p<0.01). IgG値は, それぞれ2, 489mg/dl, 1, 947mg/dl, 1, 618mg/dlで同様に消失群において有意に低かった (p<0.001). IgA値は未治療群の一部の患者において上昇を認め, 消失群にて低値となったが群間に有意な差はなかった. IgE値は未治療群, 残存群の一部の患者にて上昇を認めたが, 3群間に有意な差はなかった. ガンマグロブリン値が未治療群で上昇しており, ウイルス消失群で改善していることから, HIVの増殖と高ガンマグロブリン血症は密接に関連すると考えられた. 各イソタイプの産生亢進は, それぞれ特有の上昇機序が存在する可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 75 (7), 535-540, 2001

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (11)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ