散発下痢症患者からの腸管凝集性大腸菌の検出

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タイトル別名
  • Detection of Enteroaggregative Escherichia coli from Sporadic Diarrhea Patients
  • サンパツ ゲリショウ カンジャ カラ ノ チョウカン ギョウシュウセイ ダイチ

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抄録

下痢症の原因菌として近年新たに報告されてきた腸管凝集性大腸菌の検出を試み, さらに分離菌の各種性状を調査した.すなわち1993年1月-1998年4月に宮崎県で採取された散発下痢症患者2, 652例の検体について, 腸管凝集性大腸菌の付着線毛発現活性化遺伝子aggRを標的としたスクリーニングPCRを行い, 34株 (1.3%) のaggR (+) 大腸菌を得た.これらの菌株中29株はHEp-2細胞に凝集性付着をし, 腸管凝集性大腸菌であることが確認された.しかし他の5株はHEp-2細胞付着性が見られず腸管凝集性大腸菌ではないと思われた.このようにaggR-PCRでは, aggR遺伝子を保有するが腸管凝集性大腸菌ではない大腸菌がわずかながら検出された.また腸管凝集性大腸菌の付着線毛は60Md前後のプラスミドに支配されていることが報告されている.今回の腸管凝集性大腸菌分離株29株はすべて50Md以上のプラスミドを保有し, 付着線毛との関連が推測された.これらの株の血清型は0111: H21 (9株), 0126: H27 (7株) という2血清型が16株 (55%) を占めたほかは, 少数例ずつ10種類以上の血清型に型別された.また, 29株中19株が耐熱性毒素EAST1の遺伝子を保有し, 薬剤に対する感受性試験ではアンピシリン (72%), セファゾリン (59%), ストレプトマイシン (21%) 等に対して耐性を示した.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 72 (12), 1275-1282, 1998

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (9)*注記

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参考文献 (15)*注記

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