高齢者でのインフルエンザワクチンの効果についての検討

書誌事項

タイトル別名
  • Efficacy of Influenza Vaccine among Geriatric Inpatients
  • 高齢者でのインフルエンザワクチンの効果についての検討:1996/97年期における前年度接種および接種回数の影響について
  • コウレイシャ デ ノ インフルエンザ ワクチン ノ コウカ ニ ツイテ ノ ケントウ 1996 97ネンキ ニ オケル ゼンネンド セッシュ オヨビ セッシュ カイスウ ノ エイキョウ ニ ツイテ
  • Effect of Previous Vaccination and Antibody Induction by Single and Twice Injections
  • 1996/97年期における前年度接種および接種回数の影響について

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抄録

高齢者において, 1996/97年期における不活化インフルエンザワクチンの効果に対する, 前年度接種及び接種回数の影響について検討した.<BR>高齢入院患者217名 (平均年齢81.1歳) に不活化インフルエンザワクチンを接種した.ワクチン接種者は, 前年度接種を受け今年度1回接種の群77名 (前年度1回接種者16名), 前年度接種を受け今回2回の群70名 (前年度1回接種者11名), 前年度未接種で今回2回の群が70名であった.<BR>ワクチン接種前のHI抗体価及びHI抗体価128倍以上の割合は, A/HIN1, A/H3N2, Bのいずれに対しても, 前年度接種者が未接種者に比し高かった.<BR>ワクチン接種後のA/H1N1に対するHI抗体価及びHI抗体価128倍以上の割合は, 3群間に有意差は検出されなかった.A/H3N2に対するHI抗体価及びHI抗体価128倍以上の割合は, 2年連続1回接種者が有意に低かった.Bに対する血清HI抗体価は, 2年連続1回接種者が前年度未接種者に比し有意に低かったが, HI抗体価128倍以上の割合には, 3群間に有意差は見られなかった.<BR>以上の成績より, 高齢者において前年度のワクチン接種が, ワクチンの効果を阻害するとは考えられなかったが, 用いる不活化インフルエンザワクチンによっては, 前年度接種者において, 1回接種では2回接種に比し, 効果が劣る可能性が示唆された.しかし, 1回接種で, HI抗体価128倍以上の割合は, 70%以上に達しており, 実用的な面から, 1回接種も検討すべき接種方法と思われる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 73 (10), 1042-1047, 1999

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (19)*注記

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