コーチゾン投与による易感染化マウス膀胱内での<I>Escherichia coli</I>の増殖様式

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タイトル別名
  • Colonization Types of <I>Escherichia coli</I> in Experimental Urinary Tract Infection in Compromised Mice Treated with Hydrocortisone
  • コーチゾン投与による易感染化マウス膀胱内でのEscherichia coliの増殖様式
  • コーチゾン トウヨ ニヨル イカンセンカ マウス ボウコウナイ デ ノ Esc
  • Colonization Types of Escherichia coli in Experimental Urinary Tract Infection in Compromised Mice Treated with Hydrocortisone

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抄録

尿路感染病原因菌としてのEscherichia coliの尿路での増殖様式を知るために, 菌株 (3株), コーチゾン投与量 (0, 2, 4, 8mg/mouse), 経過時間 (菌液接種後3, 6, 24時間) の3種類の要因を取り上げ72匹のマウスを用いた3元配置の要因実験を行った. 菌株は先に我々が30株を用いて行った尿路感染実験で増殖部位に比較的傾向のみられた3菌株を用いた. 即ち, 株H70は尿路上皮細胞内での増殖 (細胞内増殖型) が多く, 株H99は膀胱腔内での増殖 (腔内増殖型) が, また株K88は高度に両部位 (混合型) で増殖がみられたものである.<BR>菌株H70, H99, K88を接種されたマウスでの菌の検出された割合はそれぞれ25.0, 41.7, 79.2%であった. コーチゾン0, 2, 4, 8mg/mouse投与群での検出率は, それぞれ38.9, 55.6, 55.6, 44.4%であった.<BR>菌液接種3, 6, 24時間後での, 腔内増殖型の検出率は45.8, 20.8, 20.8%で, 混合型は4.2, 16.7, 4.2%, 細胞内増殖型は4.2, 16.7, 12.5%で, 3種のいずれかが検出されたものは54.2, 54.2, 37.5%であった. これは感染当初は膀胱腔内での菌の増殖が優勢で, その後, 細胞内への侵入が起こり, 腔内の菌が排除された後も細胞内の菌は留まるためと考えられた.<BR>しかし, 菌株により増殖部位と程度が異なり, 特に, 検出率の低いH70株で細胞内増殖型が検出されたのに対し, 検出率がそれより高いH88株では細胞内増殖型は観察されなかったこと, またコーチゾン処理による影響や経過時間による増殖様式の推移にも菌株で違いがみられたことから, 尿路感染症の機序が単一ではなく, 菌株や宿主性状により異なると結論された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 71 (7), 652-658, 1997

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (17)*注記

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