1996年福岡県において分離されたアデノウイルス7型の遺伝子解析と住民の抗体調査

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Genome Types of Adenovirus Type 7 Isolated in Fukuoka Prefecture in 1996
  • 1996ネン フクオカケン ニ オイテ ブンリサレタ アデノ ウイルス 7ガタ

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抄録

アデノウイルス7型 (Ad7) の分離例はわが国において1994年までわずかであったが, 1995年以降全国各地でAd7の分離報告が相次いだ.福岡県においても1996年1月以降Ad7が分離されたので, 分離されたAd7についてウイルスDNAの解析, 本県におけるAd7の流行について解析を行った.<BR>Ad7分離株及び標準株 (Ad7P) のDNAの制限酵素切断パターンを比較すると, 分離株間では14種全ての酵素の切断パターンは一致した.しかし, 分離株とAd7Pでは4種の酵素について同一パターンを示したが, 残りの10種については異なる切断パターンを示した.制限酵素切断パターンの解析から今回分離されたAd7は野田らの報告した1995年国内流行株 (Ad7c) と同一株と推察された.また, 14種の制限酵素のうちAd7pDNA上の切断部位が明らかになっている10種の制限酵素について, 切断フラグメントの泳動パターンを比較すると, 少なくとも12ケ所の変異が推定された.<BR>Ad7pに対する平均中和抗体陽性率は1994年が3.6%, 1996年が9.7%で約2.7倍 (P=0.015) に上昇していたが, 依然10%未満であり今後もAd7感染症の流行に十分注意する必要がある.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 71 (9), 895-898, 1997

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (11)*注記

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