胸水中および髄液中の (1→3)-β-D-glucan値の臨床的意義についての検討

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Significance of (1→3)-β-D-glucan in Pleural Effusion and Liquor
  • キョウスイチュウ オヨビ ズイエキチュウ ノ 1 3 ベータ D glucan
  • Clinical Significance of (1^|^rarr;3)-^|^beta;-D-glucan in Pleural Effusion and Liquor

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抄録

深在性真菌感染症の診断において血中 (1→3)-β-D-glucan (β-glucan) 値の測定は既に広く臨床で用いられている. 我々は胸水中, 髄液中のβ-glucan値を測定し, その臨床的意義について検討した.<BR>1995年4月から1996年10月までに, 川崎医科大学附属病院でβ-glucanfreeで胸水を採取した27人と, 同じく髄液を採取した23人を対象として各々のβ-glucan値を測定した. 胸水検討症例は男性17例, 女性10例, 年齢は19歳から96歳, 平均年齢62.1歳であった. このうち血液透析施行の2例は基準値の検討から除外した. 髄液検討症例は男性15例, 女性8例, 年齢は18歳から72歳, 平均年齢48.4歳であった. 真菌感染症例は2例 (胸水1例, 髄液1例) であった. アスペルギルス性膿胸, クリプトコッカス髄膜炎症例では, 各々胸水中, 髄液中のβ-glucanは増加していた. β-glucan値に影響を及ぼす因子のない症例ではおおよそβ-glucan値は低値であったが一部に偽陽性も認められた. 胸水, 髄液でのβ-glucan値測定は, 胸膜炎や髄膜炎の原因として真菌感染症が関与しているか否かを決定するのに適切な指標となり得ると考えられた. しかし, 偽陽性の存在も確認され, 今後さらに症例を増やして検討していく必要がある.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 71 (12), 1210-1215, 1997

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (7)*注記

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