AZT長期投与後出現したAZT耐性HIV-1分離株に見られる逆転写酵素遺伝子の変異に関する研究

  • 近藤 真規子
    神奈川県衛生研究所・ウイルス部 横浜市立大学医学部細菌学

書誌事項

タイトル別名
  • Predominance of Codon 215 Mutation in Reverse Transcriptase-Coding Region of 3'-azido-3'-deoxythymidine (AZT)-Resistant HIV-1 Isolates after Long-Term AZT Therapy
  • AZT長期投与後出現したAZT耐性HIV-1分離株に見られる逆転写酵素遺伝子の変異に関する研究<英文>
  • AZT チョウキ トウヨゴ シュツゲンシタ AZT タイセイ HIV-1 ブン

この論文をさがす

抄録

6カ月以上3'-azido-3'-deoxythymidine (AZT) を投与した患者9名からhuman immunodeficiencytype-1virus (HIV-1) を分離し, AZT耐性に関与する逆転写酵素 (RT) 遺伝子の4カ所のアミノ酸 (Asp67, Lys70, Thr215, Lys219) にいて解析した.その結果, 9名中7名にこれら4カ所のアミノ酸いずれかが変異しているクローンが検出された.これら7名から得られた合計41クローンの内40クローン (97.6%) に215番アミノ酸のTyrあるいはPheへの変異が認められ, この変異は他の3カ所のアミノ酸の変異に比べ最も高率であった.<BR>また, AZT1μMの存在下で培養できたAZT耐性株から得られた合計22個のクローンも4カ所のアミノ酸いずれかが必ず変異しており, 特に215番アミノ酸の変異は全てのクローンに認められた.<BR>次に一人の患者のAZT投与前から投与後にかけて経時的にHIV-1を分離し, RT遺伝子を解析した.AZT投与前に得られた分離株には4カ所のアミノ酸いずれにも変異は認められなかったが, 投与2カ月後には70番アミノ酸がArgに変異したクローンが優勢となった.AZT投与6カ月以上を経過するとほとんどのクローンで215番アミノ酸がTyrに変異しており, これら分離株はAZT1μM存在下で培養が可能であった.<BR>215番アミノ酸の変異は, 他の3カ所のアミノ酸の変異が1コドン内1塩基置換であるのに対し2塩基置換であり, 比較的確率の低い変異にもかかわらず, 全てのAZT耐性株に認められることから, このアミノ酸の変異はAZT耐性に最も重要であることが確認された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 69 (11), 1278-1285, 1995

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (10)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ