胆嚢癌の併存病変と超音波診断

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  • Deseases with gallbladder carcinoma and diagnosis of ultrasonography

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抄録

切除胆嚢癌104例についてUS所見を検討し, さらに胆嚢結石, 急性胆嚢炎合併例, 膵・胆管合流異常併存例についてUS所見を検討した。胆嚢癌ではUSで癌の存在診断ができない例の多くは胆石, 急性胆嚢炎の併存例であった。切除胆嚢癌の胆石合併率は57.7%で, 無石例は1例を除いて存在診断ができたが, 有石例の診断率は早期癌では26.7%のみ, 進行癌でも6.9%にとどまった。さらに急性胆嚢炎合併例では早期癌は全例で診断できず, 進行癌でも40%の診断率であった。膵・胆管合流異常併存例は胆嚢癌合併16例, 非癌例21例を比較した。40歳以下の例は胆嚢癌の症例はなく, 40歳以上の例では40.7%が胆嚢癌であった。非癌例は21例中17例と多くが過形成粘膜を併存し, これらは2または3層の層構造の描出が特徴的であった。一方胆嚢癌症例では早期癌の2例で膵・胆管合流異常の過形成粘膜に特徴的なUS所見のみ描出されたが, 早期癌2例を含めた他の14例のUS所見は通常の胆嚢癌のUS所見と同様であった。胆石, 急性胆嚢炎の例は胆嚢癌の存在に注意が必要で, また層構造を有する胆嚢の壁肥厚がみられた際には, 膵・胆管合流異常の存在を疑い, 精査すべきである。陶器様胆嚢も胆嚢癌のハイリスクグループとされ, 精査が必要である。

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