一人暮らし高齢者の自立度とそれに関連する要因の検討

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タイトル別名
  • The relation between characteristics and activities of daily living of the elderly living alone
  • ヒトリグラシ コウレイシャ ノ ジリツド ト ソレニ カンレン スル ヨウイン ノ ケントウ

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抄録

目的 在宅の一人暮らし高齢者の実態を把握し,自立度による身体的特性,精神・心理的特性,社会的特性を明らかにすることを目的とした。<br/>方法 I 県 T 町に居住する65歳以上の在宅の一人暮らし高齢者101人(男20人,女81人)を対象に訪問面接調査を行った。本研究では,厚生省による障害老人の日常生活自立度判定基準のランク A~C に該当する高齢者を「要介助群」とし,ランク J 以上の高齢者について,老研式活動能力指標得点により「要介助予備群」と「自立群」に分類し,各群の特性を比較検討した。<br/>成績 T 町に居住する65歳以上の高齢者2,186人(2000年 4 月 1 日現在)のうち,住民基本台帳上の単独世帯の高齢者は245人(11.2%),調査時点の在宅の一人暮らし高齢者は117人(5.4%)であった。調査を実施できた101人のうち,自立群は71.2%,要介助予備群は23.8%,要介助群は4.9%であった。要介助予備群は,自立群と比較して,基本的 ADL に有意差は認められなかったが,視力の低下や,もの忘れのある高齢者,抑うつ傾向にある高齢者が有意に多く,生きがいをもつ高齢者が有意に少なかった。また,要介助予備群は,要介助群と比較して基本的 ADL は有意に高かったが,抑うつ傾向にあること,生きがいの有無については有意な差が認められなかった。<br/>結論 調査対象とした在宅の一人暮らし高齢者の多くは自立していたが,約 5%の高齢者は何らかの介助が必要であった。また,約24%の高齢者は身体的には自立していても,精神的健康状態が低下している者が多かった。これらの結果から,一人暮らし高齢者に対しては,自立している高齢者についても,今後介助を要する状態に陥るリスクが高いと考えられる高齢者を早期に把握し,状況の変化に応じた必要なサービスの提供や,身体的・精神的・社会的な機能の維持・向上に向けた予防的な支援を行う必要があることが示唆された。

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