閉塞性黄疸症例における経腸栄養の減黄促進効果

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  • 特に腸管粘膜細胞の代謝動態を中心として

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抄録

最近7年間に経験した閉塞性黄疸二期的手術例のうち, 術前の減黄期間中に栄養管理を必要とした78例を対象とし, 減黄効果におよぼす経腸栄養の有用性について検討した。対象症例を (1) 経静脈栄養 (PN) 群, (2) 経腸栄養 (EN) 群, (3) EN+自家胆汁投与群の3群に分けて栄養管理を行い, 以下の成績を得た。1.減黄不良例の頻度 : EN群, EN+自家胆汁投与群では6.9%, 0%とPN群の12.2%に比して有意に低率であった。2.免疫能 : ENの投与はPN群に比べ胆汁中のsIgA値を高値に維持して, 血中エンドトキシン (Et) 値の上昇を抑制した。ENに自家胆汁投与の併施はさらにその効果を増強した。3.蛋白・アミノ酸代謝 : EN群およびEN+自家胆汁投与群のグルタミン利用率はPN群に比して有意に高く, さらに十二指腸粘膜の蛋白含有量も高値を示した。4.胆汁酸代謝 : 自家胆汁の投与は胆汁酸代謝を良好に改善し, 特にデオキシコール酸の含有が増加して, これがbacterial translocationの抑制につながった。 以上より, 術前減黄期間中の経腸栄養は, グルタミン代謝を賦活して腸管の蛋白代謝や免疫能を良好に維持し, これが血中Et値の上昇を抑制して減黄効果を促進するものと考えられたが, これに自家胆汁投与を併施すると胆汁の腸肝循環が改善され, さらにその効果は増強された。

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