地域在宅高齢者における高次生活機能を規定する認知機能について:要介護予防のための包括的健診(「お達者健診」)についての研究(2)

書誌事項

タイトル別名
  • COGNITIVE FUNCTION AS THE FACTOR DETERMINING HIGHER-LEVEL COMPETENCE IN COMMUNITY-DWELLING ELDERLY: COMPREHENSIVE HEALTH EXAMINATION FOR THE COMMUNITY ELDERLY FOR THE PREVENTION OF THE GERIATRIC SYNDROME AND A BED-RIDDEN STATE (“OTASHA-KENSHIN”)
  • チイキ ザイタク コウレイシャ ニ オケル コウジ セイカツ キノウ オ キテイ スル ニンチ キノウ ニ ツイテ ヨウ カイゴ ヨボウ ノ タメ ノ ホウカツテキ ケンシン オタッシャ ケンシン ニ ツイテ ノ ケンキュウ 2

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抄録

目的 本研究は,包括的健診(「お達者健診」)において試行された認知機能検査および老研式活動能力指標を用いて,認知機能の年齢差,および認知機能と高次生活機能の関連について明らかにすることを目的とした。<br/>方法 東京都板橋区内在宅の70歳以上高齢者438人が本研究に参加した。認知機能は,Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised (WAIS-R)符号問題,語想起検査,WAIS-R 数唱問題によって測定した。高次生活機能は,老研式活動能力指標で測定し,「手段的自立」,「知的能動性」,「社会的役割」の 3 つの下位尺度得点を分析に使用した。<br/>成績 認知機能における年齢差を検討するため,3 つの認知機能検査を従属変数,教育年数を共変量とした共分散分析により検討したところ,WAIS-R 符号問題,語想起検査および WAIS-R 数唱問題において顕著な年齢差が認められ,80歳以上高齢者の成績が80歳未満高齢者のそれよりも低いことが明らかになった。<br/> 認知機能と高次生活機能の関連について,年齢と教育年数を統制変数とした偏相関分析により検討したところ,手段的自立では符号検査および語想起検査と,知的能動性では符号検査,語想起検査および数唱検査と,社会的役割では語想起検査とそれぞれ正の相関関係が認められた。老研式活動能力指標下位尺度をそれぞれ従属変数,認知機能検査,年齢,教育年数を独立変数とする重回帰分析を行ったところ,手段的自立,知的能動性,社会的役割における分散のそれぞれ 4%, 9%, 4%が独立変数によって説明されることが明らかになった。<br/>結論 80歳以上高齢者と80歳未満高齢者間において WAIS-R 符号問題,語想起検査および WAIS-R 数唱問題の成績に年齢差が認められたことから,後期高齢期以降における認知機能(情報処理速度,遂行機能および一次記憶)の低下が推測された。<br/> 高次生活機能は認知機能と正の関連性を有することが確認され,なかでも知的能動性は認知機能によって規定される傾向が最も強い高次生活機能であることが示唆された。

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被引用文献 (12)*注記

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参考文献 (33)*注記

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