コミュニティ・ゾーン形成事業における計画内容と住民意見に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • A study of the citizens'opinions and contents in Community Zone project
  • コミュニティ ゾーン ケイセイ ジギョウ ニ オケル ケイカク ナイヨウ ト ジュウミン イケン ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

コミュニティ・ゾーン形成事業に関する研究は、住民による評価や意識調査、安全性に関する評価など多数あるが、全事業地区を対象にしてどのような計画案が実施されているのか、それらの計画策定と検討体制の相互関係に着目して傾向を述べているものは見られない。そこで、本研究では全国のコミュニティ・ゾーン形成事業の計画内容を網羅的に把握し、当初の計画案と採択された計画案の相違の原因や背景を、住民意見との関係に着目して考察することを目的とする。 計画の整備項目や住民との検討体制について把握するために、事業を行った自治体へのアンケート調査を行った。その結果をもとに2章でコミュニティ・ゾーン形成事業が行われている地区状況・事業計画内容を把握して事業の特徴を述べる。3章では事業が終了した地区の行政による事業評価から、計画の策定項目の有効性及び問題点について分析する。4章で住民の要望がどのように計画に影響を及ぼしたのかについて比較した後、5章では検討体制のあり方に着目して計画の策定項目と事業の進め方の関係について考察していく。 本研究における結論は、以下のようにまとめられる。 1.国のコミュニティ・ゾーン形成事業における整備項目を把握した。制度上行えるが実際の計画に策定されない項目は、ハード的施策に多く見られた。 2.コミュニティ・ゾーン形成事業は総合的な地区交通計画であるが、適切だと言われている対策と実際の策定された計画は乖離している項目があった。その原因として、住民の反対意見、予算的制約、空間的制約などの問題があった。3.計画に策定されにくい項目である一方通行を見ると、その主な原因は沿道住民の反対であった。策定出来た地区の傾向を見ると(1)問題抽出時に住民と行政が話し合う場を持つと共に、行政が意見収集や広報活動を並行して行うこと(2)住民同士が意見交換できる手法を用いること、の2点があり、このような参加を通じて住民意見の質が向上し、住民にも行政にも受容可能な計画策定へと繋がる可能性が高い。 4.今後コミュニティ・ゾーン形成事業をより活用していくためには、調整コストを抑えつつ住民の意見を引き出す工夫が望ましい。

収録刊行物

  • 都市計画論文集

    都市計画論文集 38.3 (0), 457-462, 2003

    公益社団法人 日本都市計画学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (5)*注記

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