Seasonal variation of mountain wind in Nagano city

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  • 長野市における山風の季節変化

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はじめに<br> ドイツでは冷気流を市内に誘導し都市内にたまった大気汚染物質を吹き飛ばす「風の道」計画が実施されている.この風は同時に熱も拡散させ,ヒートアイランドを緩和する効果も期待されている.日本においても今後はこのような都市計画が進むと思われるが,そのためにはまず「風の道」として利用できる風の実態把握とそれによるヒートアイランド緩和に関する調査が必要となる.<br><br> 本研究は,長野県長野市を対象として,市内に吹き込む山風を利用した「風の道」の実態把握とその効果の検証を目的としている.本発表では,そのうちの山風の季節変化の特徴について報告する.<br><br><br>調査地域および観測<br> 調査地域は長野市の市街地である.長野市では市街地を高温の核とするヒートアイランドが出現しており,その中心部へ向かう山風が確認されている.この山風を捉えるために,風の吹き出し口に近い長野県庁屋上(地上40m)に風向風速計を設置し,2000年7月から10分毎にデータを記録している.本発表では2000年7月から2003年6月までの約3年間のデータを用いた結果を示す.また対照地点として山風が観測されない長野地方気象台のデータを利用している.<br> <br><br>結果および考察<br>1.山風日の定義<br><br> まず山風が吹いたかどうかを判定するため以下の基準の両方満たす日を山風日と定義した.<br>・長野地方気象台における20時_から_4時の平均風速が2.0m/s以下<br><br>・長野県庁と気象台の20時_から_4時における平均風速差が2.0m/s以上<br><br> 以上の定義により観測期間中に抽出された山風日は200事例あった.<br><br>2.山風出現日の季節変化<br> 抽出された山風日を月毎に示し,その季節変化をみたのが図1である.<br><br> 山風は一年を通じて出現するが,特に4月と10月でその頻度が高く,逆に8月や1月,12月にその頻度が低い.山風は放射冷却の強い夜間に顕著に現れることから,移動性高気圧に覆われる日の多い月にその頻度が高くなると考えられる.一方,8月に出現回数が低いのは大気中の水蒸気量が多く放射冷却が強まらないためではないかと考えられる.<br><br><br>2.山風開始時刻の季節変化<br><br> 山風の吹走開始時刻および終了時刻を県庁の風向が変化する時刻を基本としてもとめた.その結果,山風の開始時刻は日の入り時刻に同調するような季節変化をしていた(図2).一方,終了時刻と日の出時刻との関係は顕著ではなかった.おそらく,観測地点の高度で山風を捉えることができなくなった時刻が,現象としての山風の終了時刻とは一致していないためではないかと考えられる.<br>

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