Meteorological observations on mitigation of the summer thermal stress: A case study of Cheonggye Stream Restoration Project in Seoul city (First Report)

DOI

Bibliographic Information

Other Title
  • ソウル・清渓川復元事業による都市の暑熱緩和の観測(第1報)

Search this article

Abstract

1.はじめに<br><br> 近年、都市ヒートアイランドによる都市熱環境問題が顕在化している。都市で働き、生活している人々が利便性を享受し、快適に暮らしてゆくために、最近では、日本をはじめ世界の様々な都市で、自然共生による都市再生・まちづくりが盛んに提唱されている。<br><br> 韓国ソウル市では、2003年7月1日から、市内の高架道路で蓋をされた状態になっている旧河川を蘇らせようという、都市内における大規模な清流復元事業(「清渓川(チョンゲチョンCheonggyecheon)復元事業」)が実施されている。この事業の環境改善効果としては、交通量の減少による大気浄化はもとより、河川周辺の夏季における暑熱の緩和効果にも注目が集まっている。<br><br> 本研究は、これまで高架道路であった清渓川を復元して水と緑の親水空間を創出するという、世界に例を見ない大規模な都市環境改善事業の実施過程で、対象地域におけるモニタリングを行うことにより、夏季の暑熱の緩和効果を定量的に実証することを目的としている。この研究はその第1報である。<br><br><br><br>2.研究対象地域 <br><br> ソウルは、朝鮮半島の西側の中央部、漢江(ハンガンHangan)の河口から上流90km北岸の標高60mに位置する。漢江が貫流し、ソウルは南北に分断されている。ソウル市の面積は約605.52km(1997年)で、人口は韓国の総人口の4分の1に当たる約1026万人(2000年)である。<br><br> 漢江の北側にある清渓川はもともとの名称を開川(ゲチョン)といい、延長10.92km、総面積50.96平方kmである。1394年ソウルが朝鮮王朝の都となってから、清渓川は都の中心のシンボルとなってきた川であるが、長い年月を経て、1976年に高架道路で覆われたものである。清渓川高架道路は約6kmの長さで、ソウルの近代化の代表的な象徴である。高架道路は、李朝時代の王宮、廟などの観光名所が点在する鐘路(チョンノ)、ソウルの二大市場の一つ東大門(トンデムン)市場など、繁華街を通過している。<br><br><br><br>3.観測概要<br><br> 本研究では、2003年7月1日の高架道路撤去工事開始に先んじて、6月中旬に、百葉箱内に小型温湿度計を置いた簡易自動観測ステーションを、清渓川南北500m以内に立地する小中高等学校7箇所ならびに公共機関8箇所に設置し、10分間隔のモニタリングを開始した。また、サーモグラフィー(熱赤外画像撮影装置)を用いて、当該事業の前(2003年夏)後(2006年夏)にわたる熱画像を取得するとともに、定期的に熱収支観測や温熱指数を測定することにより、都市内大規模清流復元事業の暑熱緩和効果を定量化し、日本の都市再生戦略へ応用する計画である。<br><br> なお、当復元事業は2005年9月に終了する予定であるが、本研究では、水と緑の親水空間の創出・展開を対象とする新たなモニタリングを導入・継続する計画である。<br><br>

Journal

Related Projects

See more

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205693550080
  • NII Article ID
    10012721358
  • NII Book ID
    AA1115859X
  • DOI
    10.14866/ajg.2004s.0.56.0
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top