残留薬剤が原因と考えられる口腔粘膜の病変

  • 吹春 香
    医療法人大乗会福岡リハビリテーション病院歯科
  • 平塚 正雄
    医療法人大乗会福岡リハビリテーション病院歯科 福岡歯科大学高齢・障害者歯科
  • 山本 清
    福岡歯科大学高齢・障害者歯科
  • 山本 幸枝
    医療法人大乗会福岡リハビリテーション病院歯科
  • 吉川 恵美子
    医療法人大乗会福岡リハビリテーション病院歯科
  • 秋好 春奈
    医療法人大乗会福岡リハビリテーション病院歯科
  • 大楠 尚實
    医療法人大乗会福岡リハビリテーション病院歯科
  • 角野 吉宏
    医療法人大乗会福岡リハビリテーション病院歯科 福岡歯科大学高齢・障害者歯科
  • 杉岡 雅樹
    医療法人大乗会福岡リハビリテーション病院歯科 福岡歯科大学高齢・障害者歯科
  • 塚本 末廣
    福岡歯科大学高齢・障害者歯科

書誌事項

タイトル別名
  • Oral Mucosa Lesion of due to Remaining of Medicine in the mouth
  • A Case of Patient with Cerebro-Vascular Accident
  • 脳血管障害患者の一症例

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抄録

脳血管障害 (以下, CVA) 後遺症患者の口腔では, 知覚や運動の麻痺により, 麻痺側に食渣の停滞が見られることが多い。また常用する薬剤の副作川から, 唾液の分泌が減少し, 浄化作用が低下することも知られている。今回われわれは脳梗塞による右側片麻痺の患者で, 麻痺側の口腔前庭に服用した薬剤が残留し, それが原因で生じたと考えられる頬粘膜の白色病変を経験したので報告する。<BR>患者は80歳男性で平成12年1月14日左中大脳動脈領域の脳梗塞により右側片麻痺, 運動性失語症を発症した。同年6月7日, 口腔ケア時に麻痺側の頬粘膜に15×10mmの白斑を確認し, 同側の口腔前庭には服用している散剤の残留を認めた。処方されていた薬剤のうち散剤は酸化マグネシウム粉末とアズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン細粒の2種類であった。同年6月12日には同部位に4つに分離した10×10mmの白斑が認められた。散剤が口腔内に残留しないようにするために, これらの薬剤を食事に混和またはゼリー食に包み込んで服用させるようにしたところ, 白斑は消退し, それ以後出現しなかった。このことから, 白斑は散剤の残留が原因と考えられ, CVAのある高齢者のケアに際しては, 服薬のさせ方など考慮すべきであると考えられた。

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 15 (2), 132-136, 2000

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (14)*注記

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