思春期前口唇口蓋裂患者のアデノイドおよび上気道の特徴

  • 今村 尚子
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野
  • 檜山 成寿
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野
  • 小野 卓史
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野
  • 石渡 靖夫
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野
  • 黒田 敬之
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Adenoidal tissue and Upper-Airway Sizes in Juvenile Patients with Cleft Lip and Palate

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抄録

思春期前口唇口蓋裂患者のアデノイドの大きさおよび上気道形態を側面頭部X線規格写真を用いて評価し,口唇口蓋裂を有さない不正咬合患者と比較検討した.左側口唇口蓋裂を有する男児45名(平均年齢9.2歳)をCLP群とし,一方,口唇口蓋裂を有さない不正咬合患者(Angle I級〔2.0°<ANB<6.0°〕22名,II級〔6.0°<ANB〕14名,III級〔ANB<2.0°〕9名)男児45名(平均年齢9.8歳)を対照群とした.各患者の側面頭部X線規格写真から得られた透写図上にて,アデノイドの大きさおよび上気道形態,顎顔面形態に関する計測を行った.統計処理にはt検定および単回帰分析を用いた.アデノイドの大きさに関しては,CLP群の方が対照群に比べて有意に大きかった.上気道に関する全ての計測項目は,CLP群の方が対照群に比べて有意に小さかった.一方,顎顔面形態に関しては,CLP群の方が対照群に比べて上顎骨の後方位が示されたが,下顎骨の前後的位置に有意差は認められなかった.さらに,アデノイドの大きさと上気道前後径の問に有意な負の相関が示された.しかし,アデノイドの大きさあるいは上気道前後径と顎顔面形態に関する計測項目との間には有意な相関は認められなかった.以上の所見から,思春期前口唇口蓋裂患者では不正咬合患者に比べ,アデノイドが大きく上気道が前後的に狭窄していることが明らかになった.

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参考文献 (49)*注記

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