早期より胆管内発育をみた肝細胞癌の1例

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タイトル別名
  • A case of hepatocellular carcinoma which invaded bile duct in its earlier stage

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抄録

胆管内に浸潤, 発育する胆管内発育型肝細胞癌は比較的稀で肝細胞癌の1.9~7%といわれている. 原発腫瘍が小さな時期より肝内胆管に浸潤し胆管内へ発育する経過を観察し得た肝細胞癌の1例を経験した. 症例は63歳男性. 年に2~3回胆嚢炎様の症状を繰り返すも, 精査の同意が得られず経過観察を行ってきた. 初診から2年後閉塞性黄疸にて入院となった. 肝門部に発生し前区域枝にまで進展した肝内胆管癌との術前診断で, 肝外胆管切除を伴う肝拡大右葉切除術を施行した. 病理組織学的にはS5に主腫瘍を認め, 胆管内に腫瘍栓の形で発育しており, 中~高分化型肝細胞癌であった. 経過中の画像を retrospective に検討すると, 初診時のERCでB5胆管の途絶を認め, またCT上S5の径1.8cmの腫瘍とともに同部に接したB5胆管の拡張が認められた. この時点ですでに胆管侵襲を来しており, その後総肝管まで腫瘍栓が発育したものと考えられた.

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 45 (5), 274-279, 2004

    一般社団法人 日本肝臓学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (17)*注記

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