肝転移を伴う胃粘膜下腫瘍との鑑別が困難であった胃重複症の1例

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  • Gastric Duplication Cyst Presenting as Gastric Submucosal Tumor with Liver Metastases

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抄録

症例は44歳の女性で,他院での腹部超音波検査にて肝腫瘍を指摘され精査加療目的に紹介されたが,当院での上部消化器内視鏡検査にて胃前底部後壁に粘膜下腫瘍を指摘された.その際の生検組織検査およびその他各種画像診断にて確定診断が得られず,またCEA 13.6ng/dlと高値であり胃粘膜下腫瘍とそれに伴う肝転移を否定できなかったため,幽門側胃切除術および肝部分切除術を施行した.胃切除標本では弾性軟腫瘤であり胃粘膜面は正常,割面にて嚢胞内に乳頭状に隆起し充満した腺管構造物を認めた.永久標本による病理組織検査では腫瘍性変化はなく胃重複症の診断であり,術前に転移と思われた肝腫瘍は腺腫様過形成であった.胃重複症は良性の先天性疾患であり幼少期に消化器症状を主訴に発見されることが多く,成人において無症状下に発見される例は極めてまれであるが,胃粘膜下腫瘍の鑑別診断の際には念頭に置いておくべき疾患である.

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