心血管系のストレス応答  2  心筋酸化ストレス:アンジオテンシン受容体とβアドレナリン受容体の相互作用

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タイトル別名
  • Cardiac oxidative stress: interaction between angiotensin and adrenaline receptors
  • 心筋酸化ストレス:アンジオテンシン受容体とβアドレナリン受容体の相互作用
  • シンキン サンカ ストレス アンジオテンシン ジュヨウタイ ト ベータ アドレナリン ジュヨウタイ ノ ソウゴ サヨウ

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抄録

心筋に発現するアンジオテンシン受容体とβアドレナリン受容体のそれぞれの受容体拮抗薬による相互作用が示され,これら薬物の心不全治療効果にお互い影響しあうことが考えられる.本稿では,アンジオテンシン(ANG)急性および慢性暴露における心血管系での酸化ストレスと活性酸素産生系について,またイソプロテレノールの注入によるβアドレナリン受容体刺激における心肥大と心筋酸化ストレスにおけるAT1受容体の関与についてmitogen-activated protein(MAP)キナーゼの活性化を指標に検討した結果を紹介する.ANG投与急性期には,まず心血管系組織のNAD(P)Hオキシダーゼが活性化され活性酸素が産生されるが,この活性酸素はさらにミトコンドリア内膜に局在するATP感受性Kチャネルを刺激,開口して,活性酸素産生を一層促進する.しかしこれらANG投与急性期に生じるミトコンドリア由来の活性酸素は,ANGの昇圧機序に組するものではない.イソプロテレノール慢性暴露によって生じる心肥大はANG受容体拮抗薬で抑制される.またAT1a受容体欠失マウスの慢性イソプロテレノール暴露では心拍数は野生型と同様に増加するが,心肥大や心筋酸化ストレスの増大反応が欠如しており,これもAT1受容体関与の重要性を示すものである.またイソプロテレノールによってリン酸化されるMAPキナーゼカスケードの内Raf/MEK/ERK系はAT1受容体拮抗薬(ARB)によってほぼ抑制されており,この抑制機構にはAT1受容体を介したRas-Raf刺激経路の抑制の他,βアドレナリン受容体を介したRap-1の活性化によるRaf抑制機構が関係する可能性がある.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 126 (4), 251-255, 2005

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (50)*注記

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