情動・社会的認知とその障害

  • 村井 俊哉
    京都大学大学院医学研究科脳統御医科学系専攻脳病態生理学講座(精神医学)

書誌事項

タイトル別名
  • Proceedings of the 31st Conference at Kyoto on May 20-21, 2005, Guest Lecture: Emotional/Social Cognition and Its Impairment
  • キョウイク コウエン 2 ジョウドウ シャカイテキ ニンチ ト ソノ ショウガイ

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抄録

人が社会的コミュニケーションをうまく行っていくためには,言語情報だけでなく表情などの非言語的・情動的刺激の意味を解読し,その情報をもとに適切な社会行動へつなげてゆくことが重要である.このような認知・行動には特定の神経構造が重要な役割を果たしている.両側の扁桃体に損傷を受けた患者では,恐怖表情などの陰性情動刺激の認知に障害が生じ,自分にとって脅威を意味する刺激に対して鈍感になる場合がある.一方,適切な意思決定と行動選択,特に社会的文脈での意思決定において中心的役割を果たす構造は,腹内側前頭前皮質である.外傷性脳損傷などによってこの部位に損傷が生じると,金銭・資産の管理ができない,責任ある行動がとれず仕事が長続きしないなど,社会生活での困難が生じてくる.情動・社会的認知の障害は,局在脳損傷例だけにみられるのではなく,統合失調症などさまざまな精神疾患の病態の基盤にあることが明らかにされつつある.

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