視能矯正を考える

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  • The Consideration on Orthoptics

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抄録

視能訓練士制度の創設時代から社会環境は大きく変革して、国の施策は疾病の治療・予防から健康教育にシフトしてきた。この時期に視能訓練士の教育基準が見直され指定規則の大綱化(2001年11月)があった。大綱化を契機に社会の変革に適応する視能矯正とは何か、その進化に対応できる視能訓練士(ORT)はどうあるとよいかを考える。<br>1.「視能矯正」の言葉の生い立ちと「視能」を共通語とする意識改革<br>1955年、視能矯正学の祖、弓削経一教授は、弱視の病態を視能障害、Orthopticsを斜視の機能的治療法と定義され「視能矯正」が共通語となった。1971年以降、眼科学の発展と共に視能矯正(学)は、視能の質を重視する分野として社会の進歩に追従している。「視能」はORTの本質を現し中核の学問となる。“視能矯正に求められるものは何か、どうあると良いか”社会の変革の方向性を見定めながら「視能」の用語を定着させる。<br>2.視能矯正の内容と対象<br>視能矯正の創設期は「両眼視機能の回復のための矯正訓練とこれに必要な検査」が業務であったが「眼科検査」が加わり、ORTの軸足はしっかりと2本となった。視能矯正はこの軸足を土台に多角化したニーズに柔軟に対応できる医療へと拡充している。これからの発展は、医療における役割を基盤として、保健・福祉(介護)分野にも視能矯正の対象を求め、生命、人生、生活の質を高めることに一役を果たしていくことである。<br>3.時代に適応する視能矯正<br>適切な訓練刺激により脳は変わる可能性が高いことが最近の脳・神経科学の研究から実証されている。一方、高齢・少子社会の視点からは、健康な眼・視能を育てることや加齢による生理的変化、視能障害があっても日常生活で自立できることが求められている。<br>4.進化に対応できるORTと輝いて生き残る知恵<br>ORTは、自らの仕事の質、行動に対しての職務責任と倫理観を培うとともに“私達は何をするか”常に社会の動向に敏感でなければならない。輝いて生き残るためには、“視能矯正は何のためにあるのか”今、一度問い直し自己改革のシステムを作る。

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