土浦協同病院における胸腺上皮性腫瘍25例の検討

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タイトル別名
  • A Retrospective Study of 25 Cases of Thymic Epithelial Tumors Treated in Tsuchiura Kyodo General Hospital
  • ツチウラ キョウドウ ビョウイン ニ オケル キョウセン ジョウヒセイ シュヨウ 25レイ ノ ケントウ

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抄録

胸腺上皮性腫瘍は稀だが胸部外科医なら必ず遭遇する疾患である。大半は胸腺腫と胸腺癌であり臨床病期分類の正岡分類をもとに治療が行なわれる。1999年にWorld Health Organization (WHO) から病理組織分類 (WHO分類) が発表され,その有用性に関して国内外で検討された。その結果,2004年に改訂され,正岡分類と同様に重要な予後因子であるというコンセンサスが得られた。我々は1991年から2005年に当院で治療した胸腺腫21例,胸腺癌4例を集計し,WHO分類に再分類した。胸腺腫は正岡分類では,I期4例,II期11例,III期6例,WHO分類別でType B1・7例,B2・8例,B3・4例,分類不能2例だった。胸腺腫2例に重症筋無力症を認めた。胸腺癌は全4例で正岡II期とIII期が1例,IVb期が2例だった。腫瘍死は胸腺腫にはなく,胸腺癌に1例認めた。胸腺腫・胸腺癌とも治療の中心は手術だった。症例数が少なく,胸腺腫に関してWHO分類の有用性を統計学的に示すことはできなかった。しかし,正岡III期胸腺腫の大半がWHO Type B2・B3であった事より,この群における局所浸潤能の高さが示唆された。胸腺癌は4例中3例が正岡III期とIVb期で,胸腺腫よりも悪性度は高かった。胸腺腫と胸腺癌は悪性腫瘍であり,胸腺全摘術が標準治療であるが,進行例には放射線治療や化学療法も必要である。WHO分類も治療方針決定に際し重要であり,診療上は正岡分類とWHO分類を併用していく必要がある。

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参考文献 (24)*注記

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