高カリウム血症に認めた心房静止の4例

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タイトル別名
  • <I>Hyperkalemic Atrial Standstill</I>

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抄録

症例1は79歳女性, 慢性腎不全にて維持透析中.症例2は94歳女性, 慢性腎不全急性増悪例, 症例3は88歳女性, 急性腎不全例.症例4は76歳男性, 慢性腎不全急性増悪例, いずれも徐脈とそれに伴う胸部不快などの自覚症状にて緊急来院となった.全例で心電図上心房興奮波形を認めず, 高度徐脈を呈し, その際の血清力リウム (K) 濃度は各症例において8.4mEq/L, 7.6mEq/L, 7.6mEq/L, 8.6mEq/Lと異常高値を示していた.2例は血液透析, 2例は薬物療法による血清Kの低下に伴い, 3例は洞調律へ回復し, 1例は以前より認めた心房細動へ戻った.緊急治療として, 3例にて急性期に一時的体外式ペーシングを併用した.全例において血清Kの正常化に伴い, 洞調律もしくは以前よりあった心房細動に回復したことから, 高度徐脈の原因は高K血症による心房静止があると考えられた, 高K血症による心房静止は以前より知られているが, 高度徐脈を認めた場合, 特に高齢者では背景に高K血症がないかを念頭に置くべきと考えられた.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 26 (5), 720-725, 2006

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (6)*注記

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