バングラデシュにおける都市スラム居住者の医療サービス利用状況とソーシャル・キャピタル

書誌事項

タイトル別名
  • Who Fails to Get Needed Medical Attention among Urban Slum Dwellers in Bangladesh
  • バングラデシュ ニ オケル トシ スラム キョジュウシャ ノ イリョウ サービス リヨウ ジョウキョウ ト ソーシャル キャピタル
  • With Special Emphasis on Social Capital

この論文をさがす

抄録

本報告では,国際食料政策研究所がバングラデシュのスラム街において実施した調査の個票データを用いて,ソーシャル・キャピタルの水準と医療サービス利用状況との関係を明らかにすることを目的とした。定量分析の結果,必要な医療を受けることができない家族構成員がいる可能性が高いと推察されるのは,次の諸条件をより多く満たす世帯であるといえる。a)女性が世帯主である,b)所得水準が低い,c)貯金額が低い,d)家族数が多い,e)乳幼児がいる,f)困窮時に「親戚のネットワーク」と「隣人のネットワーク」を利用することができない,g)地域の集会やNGO活動に参加している者がいない。特にf)とg)から明白なとおり,緊急時に依存し得る隣人・親戚ネットワークを有する世帯,あるいは地域集会やNGO活動に参加している世帯ほど,医療サービスの利用状況は良好であることが明らかとなった。この分析結果は,既存のネットワークが地域医療の改善に利用できる可能性を示唆している。今後は,隣人や親戚ネットワークの有効活用と,それらネットワークと同様な機能を有する相互扶助的な組織を積極的に育成していくことも検討されるべきであろう。

収録刊行物

  • 都市計画論文集

    都市計画論文集 41.3 (0), 641-646, 2006-10-25

    公益社団法人 日本都市計画学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (33)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ