国内クロマグロ養殖業の課題と経営対応

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タイトル別名
  • Current stage and problems of bluefin tuna cultivation management
  • コクナイ クロマグロ ヨウショクギョウ ノ カダイ ト ケイエイ タイオウ

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抄録

<p>クロマグロ養殖は,高価格かつ高リスクという特徴を有していたが,近年においては,価格低下が進むものの,依然高リスクを保有している状況である。そこで,本稿においては,養殖経営における課題と対応について,リスクの視点から検討することを目的とした。</p><p>種苗の確保から販売の中に存在する課題と,それらが有するリスクの性質,養殖経営における課題への対応について検討を行った結果,特に重視されるべき課題は,天災による影響と価格変動であることが明らかになった。</p><p>天災に関しては,養殖適地における発生頻度と被害額の大きさから,本来的には保険による対応が望ましい。しかし,共済の対象魚種になっておらず,一般の保険料は高額かつ新規加入が困難であるため,経営内部における対応が必要となる。価格変動に関しては,現在,量販店との取引を選択することによって,価格の急激な低下というリスクの除去を目指す方策が選択されている。これは一定の価格と取引量を保持するための対応であるが,価格の川下規定が強い現状では,養殖魚の品質向上が価格に反映され難い状況にもつながると考えられる。</p><p>そのため,養殖経営においては,養成段階における損害発生の最小化と品質の向上と共に,販売段階における取り組みの再検討が重要となっている。さらに,川上から川下に至るプロセス全体をマグロ養殖産業として捉え,その中での利益配分の適正化とリスクの相互共有・転嫁が可能なシステムの構築が求められている。</p>

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