パッチクランプ  2  不可能が可能になった自動パッチクランプ装置

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タイトル別名
  • Automated patch clamping: high throughput of Art
  • 不可能が可能になった自動パッチクランプ装置
  • フカノウ ガ カノウ ニ ナッタ ジドウ パッチクランプ ソウチ

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抄録

新しいパッチ電極planar chipで初めてギガシールが形成されたとき,その20年前(79-84年)ポスドクとしてNeherのもとでパッチクランプ法発展に貢献したSigworthは,今後パッチクランプはすべてplanar chipを使うようになり,装置も次の3種類になるだろうと予言した.(1)生物物理学者が使うパッチクランプ装置,例えばたった一つのイオンの挙動を感知するようなもの.(2)製薬産業で使う大量検体を処理するもの.(3)生化学者が自分の実験台の上で手軽に使うもの.もちろん,後者2つは電気生理がわからなくともピペット操作とキーボードだけで電流が取れてしまう「オートパッチクランプ」でなくてはならない.製薬産業が使うものと生化学者が使うものの厳密な区別は難しいが,前者については,384ウェル薬物プレートに対応する創薬ロボットIonWorks Quattro,後者に対しては,かわいらしく実験台の端に置いて使うPort-a-PatchやPatchBoxが開発され,予言どおりになった.高い技術力を持つ多くのメーカーが参入していて,少し前までは考えられなかったようなすばらしい装置が,他にも続々と登場している.自動パッチクランプ装置のすごさは,熟練したマニプレータ操作が不要になり,1日のデータ取得数が飛躍的に伸びたことだけではない.器械の上にコーヒーカップをごんと置いてもびくともしない安定なシール.数十msで外液交換できるマイクロ潅流システム.細胞内液の交換も簡単になり,アカデミアにおいても今までできなかった実験が可能になるだろう.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 128 (6), 369-374, 2006

    公益社団法人 日本薬理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (11)*注記

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