日本微生物資源学会奨励賞受賞論文 担子菌系酵母の分類学的研究

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  • 担子菌系酵母の分類学的研究
  • ニホン ビセイブツ シゲン ガッカイ ショウレイショウ ジュショウ ロンブン タンシキンケイ コウボ ノ ブンルイガクテキ ケンキュウ

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担子菌系酵母は,担子菌類の3つの綱,クロボキン綱(Ustilaginomycetes),サビキン綱(Urediniomycetes),菌蕈網(Hymenomycetes)のいずれにも含まれることから,系統的にきわめて多様であると推定される.担子菌類の多様な種に対して,系統関係に基づく分類体系を構築するため,新たな種を分離し種多様性を拡げるとともに,系統関係を反映する新たな表現形質を探索することを目的に研究を行った.属以上の分類階級の指標として用いられている表現形質のうち,射出胞子形成能については,本形質をもつ酵母ともたない酵母が系統樹上で入り混じって存在し,また同一の種内においても射出胞子形成能をもつ株とこれを失ったと思われる株が存在することから,分類の指標として適切でないことが明らかとなった.また,化学分類学的形質のうち重要とされている細胞壁糖組成については,本形質は綱のレベルの指標として有効であるといわれてきたが,さらに,サビキン綱のなかでErythrobasidium clusterに位置する種は細胞壁にフコースを含んでいないことが明らかとなった.細胞壁中のフコースの有無は,サビキン綱のなかのErythrobasidium clusterを識別する指標としてきわめて有効であると思われた.担子菌系酵母は非常に多様で,その分類を論じる際には酵母以外の菌類との関連も念頭に置くことが必要である.

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