腫瘍の進展により無色素性から有色素性へと色調が変化した直腸肛門部悪性黒色腫の1例

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タイトル別名
  • A Case of Anorectal Malignant Melanoma: with a Change from Amelanotic to Melanotic Appearance

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抄録

今回われわれは患者要因で約4年にわたり経過観察した直腸肛門部悪性黒色腫の1例を経験した. 症例は79歳, 女性. 2000年12月, 白色調の肛門ポリープに対して内視鏡的粘膜切除術を施行し, 組織診で無色素性悪性黒色腫と診断した. 2001年10月, 局所再発を認めたが根治手術の承諾を得られず, 経肛門的腫瘍切除術のみを施行した. その後再度の局所再発を認め, この頃より腫瘍はそれまでの無色素性から黒色調へと色調変化をきたし, 典型的な悪性黒色腫像を呈するようになった. 2003年7月, 腫瘍の増大, 出血のため, 腹会陰式直腸切断術を施行したが, 2004年12月, 全身転移による悪液質のため死亡した. 剖検にて, 心, 肺, 肝, 腹膜など全身に転移を認めたが, 転移腫瘍はメラニン色素沈着を認めず, 無色素性腫瘍成分のみであった. 直腸肛門部悪性黒色腫の進展や転移様式を検討するうえで, 示唆に富む症例であると考え, 若干の文献的考察を加えて報告する.

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (27)*注記

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