高齢者糖尿病診療における問題点

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  • The socio-medical issues of elderly diabetic patients

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抄録

高齢者の糖尿病は運動能/認知機能低下や鬱, あるいはホルモン療法や抗腫瘍剤治療によるインスリン抵抗性によって発症する例が多く, 多臓器の予備能低下を併存していることが多い. その発症と重症化には, 生活習慣の歪みと老化の両因子が色濃く関与しているが, むしろ高齢者であるがゆえに適切な薬物治療を早期から開始することも必要である. 血糖管理目標は一般成人のHbA1C6.5%未満 (日本糖尿病学会ガイドライン) よりは若干緩めて, 7.0%未満 (種々の問題を抱えた例では8.0%未満) とすることが推奨されている. 経口血糖降下薬でのコントロール不良例に対しては, インスリン注射の併用も試みるべきである. 持効型インスリンアナログの1日1回皮下注射で基礎インスリン補償を行えば, 経口薬との併用療法で良好な血糖コントロールが得られる場合がある. これなら, 家人による注射も可能である. 親族をはじめ介護にあたるキーパーソンの役割が予後を左右すると思われる事例が多く, 高齢糖尿病患者に対する社会医学的対応の整備が今後ますます重要になると考えられる.

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