緊急麻酔に欠かせないスキル

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  • Basic Skills for Emergency Anesthesia

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抄録

  緊急手術に限らず, 麻酔科医に必要な能力とは, 一つはいわゆる麻酔に関する技術 (technical skill) であるが, もっと重要なのは, 患者あるいは家族からの情報収集活動 (intelligence activity) や外科医, 看護師あるいは手術部との交渉能力 (negotiation ability) といった意思疎通術 (communication skill) とでもいうべきものである. 緊急手術には術前評価分類にEがつくように, 緊急というだけで危険度は高いと考えられる. まず, 緊急度 (時間的余裕) がどの程度なのか把握して優先度を決定する. 短時間で患者の情報を取得する. 最終飲食と発症イベントの時刻は必須である. 可能なかぎり患者や家族に面接し, 口頭でもよいから同意を得る. 外科医との連絡は緊密にするが, 外科医の言うことを鵜呑みにしてはいけない. 同時進行で手術室, 看護師を確保する. 決断力は教えられるものではないが, 総合的判断力は教育と経験で向上しうる. 最低限必要な技術は, 第一に気道確保 (気管挿管) である. したがって, いわゆる気道確保困難症例管理 (difficult airway management: DAM) に対する日常的訓練が必要である. 日頃から対処法のアルゴリズムを理解し, 手術室内に必要物品を準備しておく. DAMを含めたあらゆる状況のシミュレーション教育は, 実際の経験には及ばないがきわめて有用であろう.

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