Asystole確認から24分経過後,蘇生行為に反応し心拍再開・社会復帰を遂げた1例

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  • A Case of a Full Recovery from a Cardiac Standstill That Continued for 24 Minutes

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抄録

今回, われわれは胸痛を訴えて119番通報され, 救急隊現着時に頸動脈触知せず, あえぎ呼吸で心電図モニター上flatであった症例に対し, 当院搬送後, 蘇生術を試み, 心静止確認から24分後に心拍再開, 入院治療後社会復帰を遂げた1例を経験したので報告する。症例は89歳, 男性。主訴は胸痛。既往歴に急性心筋梗塞 (72歳時) と心不全・腎機能低下 (87歳時) がある。内服薬にカンデサルタンカリウムとカルベジロールなどがある。午前7時頃, 発汗と悪心あり, しばらくして軽快。12時頃口渇を訴え, 牛乳とお茶を飲むも嘔吐。12時30分頃, 胸痛を訴えニトロスプレーを口腔内噴霧したが改善しないため13時11分, 119番通報。13時21分救急隊現着したところ, 瞳孔は左右ともに4mmで対光反射なく頸動脈触知せず, あえぎ呼吸で冷汗があった。CPAと判断し心臓マッサージ, Mask換気を開始。AED装着し, asystole確認。当院へ13時36分搬入。病着時, あえぎ呼吸を認めるのみでモニター上, asystole変わらず。直ちに気管挿管, ルートを確保しエピネフリン1mg投与するもasystole変わらず, CPRを継続。3分後, エピネフリン1mg再投与するも変わらず, さらに3分後エピネフリン1mg投与したところ, 心拍が再開。HR80台, 血圧も触知できるようになった。その後も血圧160mmHg台を維持されCCUへ入院。心筋梗塞, 高カリウム血症, 心不全増悪などが心静止の原因と考えた。心筋酵素の上昇はなく, 翌日には意識も回復した。グルコース-インスリン療法などを行い高カリウム血症の改善とともに心拍は安定し, 翌々日には呼吸状態も改善したため抜管。第34日に退院社会復帰となった。病院搬入時に心静止であった症例での心拍再開社会復帰例は少なく, 心肺停止から長時間経過した症例での救命例も少ない。本症例のように, 高カリウム血症が, 高齢者の心静止の原因であった場合には, 適切なBLS, ACLSを行うことで心拍再開そして社会復帰をもたらす可能性があると考えられた。

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